帽子用のブラシ、「馬毛」と「豚毛」どっちがいいの?

帽子職人が教える豆知識 003

以前、「フェルト帽子を磨くブラシは色ごとに分けるべし」という記事でブラシについてご紹介しましたが、今回はそんなブラシの素材についてのお話を。少し調べるとどこもかしこも「馬毛がベスト!」と謳っていますが、実は厳密にいうと少し違います。「馬毛ブラシは良いもの。」それは間違いありません。しかしブラシを使い分ける目的と、磨くフェルト帽子の素材によってどちらが良いのかは異なってくるのです。

まず馬毛と豚毛ですが、“毛の硬さ”がそれぞれ異なります。馬毛は柔らかく、豚毛は硬い。そしてブラッシングをする目的として、“美しい渦を作る、ホコリを取る、毛並みを整える”…などなど幾つかありますよね。

自分は美しい天井の渦を作って見た目を整える時には豚毛を使います。馬毛よりも毛質が硬くコシがあるため、細部までビシッと仕上がります。正直ホコリを取ったり毛並みを整える目的でも豚毛を優しく当てることで十分代用は可能なのですが、このような目的の場合は馬毛のようにソフトなもので磨いてあげるのもオススメです。

また、帽子の素材がベロア(ラビットフェルト)だった場合。ベロアの帽子は毛が長くてふわふわとした触り心地が魅力的ですよね。そういった“毛足の長い帽子”をブラッシングする時には柔らかな馬毛の方が向いています。ベロア本来の長い毛が抜けてしまわないよう、気を配りながら優しくブラッシングしてあげましょう。

タイトルとURLをコピーしました